有毒植物図鑑
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有毒植物と云うことは、いうまでもなく毒質を有する植物の総称で、其の種類によっては、激烈なる毒素を含有しているものも少なくない。誤ってこれを舐めるか、飲下することによって腹痛、煩悶、吐瀉、麻酔等種々の中毒をおこし、猛烈なるものは忽ち斃死するものも少なくない。よく山地や河原河辺等に自生しているドクウツギという木になる果実で、小児等が中毒して斃死したり、シキミという木の実を口にして毒死したりすることは、年々沢山の数に上ることは時には内務省の統計表にさえ発表される程で実に恐るべきことである。又菌類の中毒も吾人は常に新聞紙等に散見することであるが、其の他に吾人の耳に入らない有毒植物中毒者の多々あることは実に想像に難くないことである。未だ日本に西洋医法が発達しない前は、もっぱら漢方による治療法を行ったもので、いわゆる草根木皮が盛んに使用せられたものである。であるから其の当時は医者でなくても薬用としての木や、草の知識は一般の人にも相当に常識として発達して居たものである。一方医者或いはこれ等に研究を怠らなかった人々は現時の先覚者の如くこれは己の専売だと言った様な態度を取らず、自己の研究又習得したことは、一般の民衆を指導教養したものである。今一般家庭で庭園に栽培する植物即ち庭木などに就いて見るに現在でも殆ど習慣的に、厳格に言えば一種規則的に栽培する植木がいずれも、ある種の薬用に供せられるものが沢山あります。これ等は庭園に採植する一方、なるべく薬用的の植物を選定し、各家庭に於ける救急の目的に栽植したものですが、悲しいかな現今では、西洋医薬の発達と共に自然とこれが研究も等閑に附せられ、すべての庭木や草花は簡単に人の目を楽しませるものと思考するようになってしまったのである。こんな有様であるから単に庭園のみならず、野外にある草木が吾人々生に如何に利用する効があるか、又如何に吾人に害を与えるものがあるかは現代の知識階級の人々より、かえって老年者に多い事は事実である。

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