あぶらぎり

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一名ドクエといひます。漢名は罌子桐とかきます。又油桐とかくこともありますが、之は俗字です。暖かい國の山地には獨り生えのものがありますが、油を採るために特に栽培せらるることもあります。幹の高さは二丈餘にもなります大木で、桐の木の様な大きな葉を持つてゐますが、秋になると散つてしまひます。五月頃淡紅い色をした短い筒の形をして先が五つに分かれた花を咲きまして、後に直径八九分位で圓く扁い果實を結び内に大きな種子を持つてをります。この實が大へん毒分をもつてをりますので、場合によつては之がため死に至ることもあります。この種子からとつた油を桐油といつて中々用ひ處の多いものです。桐油といつて合羽を作つたり、包紙に油を引いたり、から傘に引いたり、提灯に塗つたりします。しかし實が有毒である位ですから、この油も亦有毒なものですから、決して食用にすることは出来ません。よく蝦魚のテンプラにあたると中毒して死ぬことがあると言ふことがありますが、それは間違つてか、或いは不正の油商人がこの油を食用油に混加したといふ様な場合即ち桐油の混合した油で揚げた場合を言ふので、實際恐ろしい中毒をすることがあります。川のでも海のでも蝦魚に傘をさして居てその傘から落ちる雨水がかかつた場合でも中毒するといはれてゐる位ですから恐ろしいものです。

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