しきみ

トップページ高知県の観光植物図鑑有毒植物図鑑しきみ

所によつてハナノキとか、カウシバ、ハナシバなどいふ樹で、漢名は莽草とかきます。有名な毒のある木ですから普通には庭園に植ゑられませんが、よく寺院、墓地などに栽植せられてゐますが、暖い國には自生することもあります。一年中葉のある木で、高さ一丈餘になります葉は圖に示した様な形をして表面に光澤があります。そして一種の香気をもつてをります。春になりますと葉と茎の間から少し黄味を帯んだ白色をした花を咲きます。この花は細長い花瓣から出来てゐます。花がすむと圖に示した様な青い毒々しい實がなります。この實も一種の香気がありまして猛烈な毒分を含んでゐます。子供などがこの實をおもちやにしている内誤つて飲み下したりして毒死したということは澤山に例があります。お盆に不慮の死方をする人がある。是なども盆参の際に毒草なる事を知らず此の枝葉を手向の花としたり又水桶に浸し、水を手向けたりする際に此實を子供が口に入れ飲み下しなどする事があるので中毒し死亡する場合が多い。つまり無智な子供に幼児の守をしてゐる内に幼児に持たせたりすることなどが過失の原因となるのですから家庭にての注意が肝要なことと思ひます。元来この樹は葉及び花に有する香気と毒分は唯に人間に有毒である計りでなく、獣類なども非常に之を嫌ふことから、昔時未開の時代には自然孤狸狼等、野獣の多く生息してゐて、死人を埋葬した時、この野獣が来て之を掘り出し、其の肉を
喰らつたりする害を被ることを防ぐため、死人を埋葬した時は必ず其の箇所の周囲にこのシキミの枝を立てておいたものです。それから段々習慣的に棺の前に供へたり、墓参の時墓標の前に立てたりする様になつて今も当然供へなければならない様になつてゐます。現在でも地方へ行つて舊式の葬式を擧行してゐる處は死人を棺に入れるのに必ずシキミの葉をつめるところもあります、地方では生葉が充分にえられますから全く生葉でつめることもあります。

しきみ

有毒植物図鑑へ戻る