じやのひげ

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ユリ科

北海道より臺灣に至る各地の樹陰濕地に自生する多年草であるが又庭園にも栽培せられる。葉は狭線形で鋭尖頭、長さは5寸から1尺に及ぶ。花は1寸5分ー3寸位の花莖の上に總?花序をなして疎生して居り淡紫色の6片の花被を持って居る。雄蕋は6本、子房は3室である。球形碧紫色の漿果を着ける。この根には念珠?の瘤起がある。薬用にはこの瘤起物を麥門冬と稱して使ふのであるが、この中心柱を抜いたものを丸麥と言ひ、其の儘のものを長麥と言って2種に分けて居り、前者の方が上等品とされて居る。又此のジャノヒゲと似た植物であるヤブランの根から之れと酷似せる生薬を作るので、ジヤノヒゲからのものを小葉麥門冬、ヤブランからのものを大葉麥門冬と言って区別して居る。
(栽培)此の植物は野生品を用いる他に栽培もされて居るが、それは多くは乾田に麥を作った後に株分によって得た苗を一面に植え付け、多くの場合は其間にコンニャク又はキウリ、カボチャの樣なものを栽培する。此の植物は大體樹陰地のものなれば夫等の葉の下になっても蔓が其の上を這っても却つて成績はよい位である。之を翌年の5月頃引き抜いて金扱にて瘤起部を取り集めて乾燥すれば長麥である。丸麥とするには特殊な技術を必要とするが、それには特に大きいものを集め、一度乾した後再び半日位水に浸して柔軟になった時その髄部の一部を齒に挟んで抜き去って再び乾かせばよい。反當り長麥で100貫前後である。水稲を後作とするがよい。商品としては色が淡くて滋味及び潤のあるのが貴ばれる。有効成分は未だ不明であるが、売薬の原料として1ヶ年約3萬斤位が使はれる。

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